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音楽と旅と生活-埼玉県港湾公社

2014年ベストディスク

 

元旦に「後であげます~」と言って以来全然更新してなかったですね。

一度途中まで書いたものが消えたけど挫けず頑張ります。

早いとこまとめて昆虫キッズのアルバムを聴きたいものです。なんてね。

というわけで、悩みに悩んだ2014年ベストディスク発表です。

 

 


 

《2014年ベストディスク》
『C'mon Dresden.』The SALOVERS (2010)
『んんん』土井玄臣 (2010)
『かなしみのない場所へ』爆弾ジョニー (2011)
『Guitar』LOSTAGE (2014)

 


 

ざっとこんな感じです。5枚選ばせていただきました。順は不同です。

以下推薦理由とか所感とかです。音源も貼っておくので気になるものがあったらぜひぜひぜひ聴いてください。

 

 

『んんん』土井玄臣

 

 ベストディスクを選ぶと決めて一番に頭に浮かんだのがこの1枚です。

 

土井玄臣さん(“モトオミ”と読みます)は関西在住のシンガーソングライター(のことをSSWと書くそうですね。最近知りました)です。

 

2010年リリースですが、正確には発売ではなく、土井さん宛にメールでこちらの住所を送ると作品が送られてくる、という形で発表された作品です。全11曲でお代は無料。(今はやっていないみたいです)

 

まあ2010年の私がこんなこと知る由もなかったです。

バイト先の方に貸してもらった30数枚のうちの1枚がこれでした。

 

初見ではピンとこなかったんですが何か引っかかるものがあったのか再度聞いてみたらこれがなんか、いい。心地良い。

消えてしまいそうな、けれど確かな諦めが漂う弾き語りで開幕する「んんん」は、中盤以降の声と物音が排水溝へ渦巻く水のように流れ込んできて心がザワザワする。

なんとなく曇りの日の階段の踊り場のような湿度を感じますね。  

 

 

2曲目の「Phantom Light」はアルバムの中ではキャッチーな曲です。

私はこの曲からのめり込みました。

 

借りた音源なので聴くとき手元には歌詞カードがなかったのですがそれがまた功を奏したというか。

何を言っているのか分かりそうで分からなかったのもたくさん聴けた理由だったかも。

それでも曲中の《不甲斐ない男にほだされて夢を見るわ》というフレーズだけでもうノックアウトでした。好きになっちゃいました。

スカート澤部さんの「ストーリー」にどハマりしたとき気づいたんですけど男性の使う“あたし”とか“~かしら”って女性的な口調にめっぽう弱い。(オネエのそれとはまたちょっと違う)

 

というわけでこの曲は一人称が“私”で進んでいくんですが、その“私”視点からの“あなた”がちょっと辛い。

《開いていく指 小銭を落とした それを拾う背中》とか、もう2人の間に溝ができていて埋まらない感じといいますか。

で、曲の最後が《あたしの日々は続くの アンタと違うの》だもんなあ。  

 

 

アルバム中盤、「天地が反転する夜」という曲。曲名も綺麗ですね。

 

《甘い声を出して いつもヒドい言葉をかけて 嘘ばかりを思い付いて 夢の中で舌をだした》

 

出だしのこれだけのフレーズでも、目を閉じて、一言一音逃すまいと耳を澄ましている自分がいたりして。

気が付くと冒頭から紡がれている“私とあなた”の話(若しくは“僕と君”の話)にずぶずぶと引きずり込まれています。

 

最終的にアルバムは「朝謡」という可愛らしく、祝福に満ちた一曲で幕を閉じます。

《あたし恋をしたみたい》というフレーズに思わずこちらまでちょっと嬉しくなってしまう。

 

さてこの作品、実はひとつのコンセプトがあります。

一つだけ、 このアルバムは時間軸が反対に流れます 物語の終わりから始まります そして物語の始まりで終わります あとはあなたに委ねます、以上です。 土井玄臣

・・・ということです。

 

「んんん」の諦めにも、「朝謡」の幸福感にも納得。

紹介した曲以外も全てが全て湿り気を帯びていて、心許ないけれども心地いいです。

検索すればYouTubeで全曲聴けますし、bandcampで『それでも春を待っている』という作品も投げ銭制でダウロードできますのでぜひ。

 

総括するとこのアルバム、もとい土井さんの楽曲を形容するのにはこのコピーがいちばんしっくりくる気がします。

社会からこぼれ落ちる悲しさよ

(CINRAにインタビューが載ってます)

 

最後の最後に引用かよってね。

実は一人でいるのが嫌いじゃない人に聴いてもらいたい1枚です。

 

 

SPECIAL OTHERSSPECIAL OTHERS

 

去年一番「うおぉ!すごい!これ名盤!」と気持ちが昂ったのはこれ。

 

 

ジャムバンドSPECIAL OTHERSのコラボイヤーに出たコラボアルバムです。

ジャムバンドなのでボーカル不在なわけですが、そこに他バンドのボーカルを呼んでコラボしたわけです。

Dragon AshからKj、ACIDMANからオオキノブオとテナーからホリエアツシ、モンパチからキヨサク、マレウレウ、アジカンからゴッチ、サイプレス上野とロベルト吉野というなかなか手堅いラインナップの全6曲。

通して聴く分には6曲くらいのミニアルバムがちょうどいいんですよねー。

 

 

オープニングを飾るKjコラボの「Sailin'」。 これがめちゃくちゃ気持ちいいんですわ。

さすがスペアザは演奏に隙がない。いちいち練られているというか聴いていて本当にワクワクする展開ばかりです。

 

で、演奏にばかり気を取られてしまいがちなんですが私は敢えてスペアザのコーラスワークに注目していただきたい。

コーラスが入るだけで風通しが一気に良くなります。声も立派な楽器の一部だなあ。

 

そしてイチオシなのがゴッチコラボの「DANCE IN TSURUMI」です。

スペアザの出身地神奈川は鶴見をイメージして作られたそうな。

アジカン聴いて育った身としては意識せずとも贔屓目になっちゃってるんでしょうね、それでもいいです。

何がいいって構成がいい。

A→B→A→Bとこの時点で既に歩調が逸るようなイメージ。 からの否が応でも期待してしまうコーラスが入り畳み掛けるようにCパート突入。

ここで入る歌詞がスバラシイのです。

 

《つらつら君を想うゆえに

 ルーズなステップを踏んで

 見目なき悲しみ ゆらゆら消えるまで》

 

・・・お判りでしょうか。ゴッチは本当こういうの好きですね。笑

(お判りでない方は曲名と上のフレーズの縦読みをよーく見比べてください!)

ここでスペアザでなくゴッチを褒めるのは癪ですが“つらつら”とか“見目なき悲しみ”とかその表現力に脱帽です。

 

 

曲を聴きながら鶴見川沿いを歩いたり鶴見線に乗ったりすると、いかに曲と町がマッチしているか分かっていいですよ。

鶴見線には海芝浦なんて言う物好き必見のある意味秘境駅もあるので行ってみてはいかが。

 

コラボアーティストの中にあなたの好きな人が1人でもいるなら借りるなり何なりして絶対に聴いてほしいです。

私の好みの王道を行く1枚。

 

 

『かなしみのない場所へ』爆弾ジョニー

 

 

 

 

いきなりライブの話になります。

 

去年、心から「行ってよかった!」と思えるライブが幾つかあったんですが、そのうちのひとつが石巻BLUE RESISTANCEの「ロックンロール十字軍」でした。3月12日だったかな。

爆弾ジョニーの音楽と出会ったのはその時が初めてでした。

 

初めてというのは本当に文字通り“初めて”で、その日出演したバンド(爆弾ジョニー、撃鉄、KING BROTHERS)のどのバンドも一切予習せず、松島・石巻一人旅のシメとしてぶっつけ本番的なノリで参戦。

で、正直後にも先にもこんな楽しいライブは二度とないんじゃないかってくらい楽しかった。

もう速攻で音源借りました。それがこれです。

 

ベストディスクを選ぶということでもう1枚、メジャーデビュー作『はじめての爆弾ジョニー』も候補に挙がってたんですが、ライブの熱量により近いのはこっちかなあという点で『かなしみのない場所へ』を選びました。

この1枚だけライブありきのセレクトでは?と思われてしまうかもですが、それくらいガツンと食らわされたライブだったんですわ。

 

ニューカマーだと思われますので軽く紹介しますと、2014年にメジャーデビュー。

某青春群像卓球スポ魂アニメのOPだったり某青春ロックエンタメ映画の主題歌だったりを歌い、夏にはあっちのフェスやこっちのフェスに引っ張りだこの北海道出身5人組ロックバンドです。

そして驚くべきことにメンバー全員私と同い年。

実は彼らの属するカムイレコード(北海道発レーベル)設立者は元ピロウズの上田健司さんだったりします。蛇足ですね。

 

彼らが目指すのは“世界平和”、「みんながふざければ世界平和につながる!」という信念のもと活動しております。

・・・と、ここまで読んだ方の中には「若気の至り系コミックバンドか、守備範囲外だな」とお思いの方もいらっしゃると思います。

(たぶん私も先に情報だけ知っていたら同じ反応をしていたと思いますし)

そんな方はとりあえずライブに行っておけばいいと思います。

守備範囲外だとか興味がないとか馬鹿らしいだとかそんな言葉吹っ飛ぶと思いますよ。

 

彼らの真髄を味わうならライブに行くしかないと思うんですが(これは何度でも言うつもり)、そうそう行けない理由も多々あると思いますし、諸般の事情で彼らもちょっとの間ライブを休止しているらしいので(詳しくは公式HP参照)、「なあ~んにも」という曲を紹介しておきます。

 

 

ヘイ! CDが売れない時代だ!

このご時世、ロックバンドは通用しないのか?!

答えは、ノーだ!!!

時代を変えるのが、ロックバンドの お!し!ご!と!!!

いつやる? 今だろ!!!

誰がやる? 俺らだ!!!!! 

 

若手バンド数多のこの時代ですが、彼らなら、腹の底から信じられると思います。

音楽が時代を変えられると信じての1枚です。

 

 

『C'mon Dresden.』The SALOVERS 

 

まずジャケットが風景でいい。

それでもってタイトルも地名が入っていていい。

そんな理由でレンタルして出会った作品です。

 

サラバーズのことは 4人組ロックバンド、という全バンドの8割が当てはまるようなことしか知りませんでしたし、今も大して詳しいというわけではないです。

なんとなくダウナーか誰かの対バンで出ていたような…?といううろ覚えの記憶はあるのですが、それすらもうろ覚えなので私の幻想かもしれませんし仮に観たことがあってもその程度の関心だったということですかね。

 

・・・と、ここまで書いて検索したらそうだそうだ、2009年の閃光ライオットに出てたんでしたね。失念していました。

(何せその年の閃光コンピはUNDER NINEに夢中でして)

ということはその翌年にこれを出したことになりますね。当時はメンバー平均18.5歳だったそうで。

今活躍してる若手ロックバンドに閃光ライオットが及ぼした影響ってのは結構大きいのかもしれないなとふと思いました。

 

『C'mon Dresden.』はプロデューサーに元ナンバガ中尾憲太郎さんを迎えての1stアルバムです。

 

 

なんとなーくアルバム聴いてみて、冒頭の「Chine」で頭ぶん殴られたような感じです。

「か、かっこいい・・・!」

 

なんて言いますか、サウンド的にかっこいいバンドは結構いるんですが一番胸に迫ったのは焦って焦って荒々しくなってるようなボーカルでした。

これはもう、この若さじゃないと出せないんだなあって感じの、危ういやつです。

10代から抜け出せない青春を感じる1枚。

 

 

GuiterLOSTAGE


「あ、これ文句なしにいいやつだわ」

このアルバムに収録されている曲、初めて聴いたのが「Flowers/路傍の花」という曲だったんですが初見(初聴?)の感想がそれです。

それより後だったか先だったかは忘れましたがアルバムが出る、しかも全曲歌モノ、と聞いて喜ばないわけがありませんでした。

轟音も刺激的で好きなんですけど、メロディが美しい歌モノは私大好物でして。

 

LOSTAGE、奈良発の3ピースバンドでございます。

ベースとギターの五味氏は兄弟です、が私は未だにどちらが兄でどちらが弟か曖昧...お恥ずかしい...。

(今調べましたがベースが五味岳久さん(兄)でアイコン描いたりよくツイートする方、ギターが五味拓斗さん(弟)ですね。なるほど)

 

地元奈良で自主レーベル兼レコードショップを立ち上げたりと、なんというかその土地を愛してる!というスタンスがとても好感が持てます、そういうの憧れです。

 

 

ヒリッヒリの轟音でまくしたてたかと思ったらこんな優しい歌を差し出してくるんだからずるい・・・。

 

『Guitar』は、あのbloodthirsty butchersの故 吉村秀樹さんを意識して作られたと聞きました。

だからなのか、アルバムを通して言い方は悪いですが色んな意味での敗者に向けての救いとか優しさが沁みてきますね。

ほぼ全曲に邦題と英語のタイトルがついてるのもリスペクトなんだろうなあ。

 

そして相変わらずジャケット、歌詞カード、PV全てにおいて神経が行き届いてます。

余すとこなく格好いい。 シンプルだけど魅せてくるんですよね、あ、演奏と共通してますね。過剰に装飾しないのがいい。

 

アルバムの色合い的に深夜に聴いてほしい1枚です。

深夜3時くらいにアンプから「Unknown/深夜放送」のイントロが流れてきたら、それはそれは絵になるだろうなあ。

 

 

----------ハサミ-----ここから後日編集-----ハサミ----------

 

得意のぐうたらをこじらせて記事を書いてはいたものの9月も終わりに差し掛かるまでずっと下書きに眠らせっぱなしでした。

でもこれだけは言わせておくれ! 上記のとおり記事は出来上がってたんだ!!!

(サラバーズの途中のとこまでですが...)

 

というわけでやっと日の目を見た2014年ベストディスク、この記事を通じて新しい音楽との素敵な出会いが生まれればこれ幸いです。